テレビとPCを繋いだら解像度が合わない？原因と直し方を徹底解説

2025年12月6日

HDMIでパソコンをテレビに繋いだのに、画面が切れたり、黒い枠が出たり、映像がぼやけたり…そんな経験はありませんか？

これは、テレビとPCの「解像度」が合っていないことが原因です。

テレビは映像を“綺麗に見せる”ように作られており、PCのように“正確に表示する”ようには設計されていません。

そのため、オーバースキャンやスケーリングなどの設定がズレると、映像が正しく表示されなくなるのです。

この記事では、テレビとPCを接続した際に起こる解像度トラブルの原因と、誰でも簡単に直せる具体的な設定方法を徹底解説します。

「テレビでPC画面を完璧に映したい！」という方は、この記事を読めばすべて解決します。

テレビとPCを繋いだのに「解像度が合わない」とは？

HDMIケーブルでテレビとPCを繋いだのに、「画面が切れる」「黒い枠が出る」「映像がぼやける」といった現象が起こることがあります。

このトラブルの多くは、テレビとPCの解像度（画面の表示情報量）が合っていないことが原因です。

ここでは、まずどんな症状が出ているときに「解像度が合っていない」と言えるのかを整理しながら、問題の構造を理解していきましょう。

どんな症状が「解像度が合っていない」状態なのか

「テレビとPCの解像度がずれている」ときは、以下のような症状が現れます。

表示の状態	よくある原因
画面の端が切れて見える	テレビのオーバースキャン機能がオンになっている
黒い枠が出る	アンダースキャン表示（縮小表示）になっている
文字やアイコンがぼやける	解像度がテレビのネイティブ解像度と一致していない

いずれも、「映像の拡大・縮小処理」が原因です。テレビがPCの出力信号を勝手に調整してしまうために発生します。

つまり、テレビは“綺麗に見せよう”として映像を加工し、PCは“正確に表示しよう”として信号を出している──その考え方の違いがズレの正体です。

なぜ「HDMIで繋ぐだけ」ではうまくいかないのか

多くの人は「HDMIで繋げば自動で最適化される」と考えがちですが、実はそう簡単ではありません。

テレビは映画や放送向けに調整されており、文字やUIを正確に表示する「PC信号」には最適化されていないのです。

そのため、PCからの映像をテレビが“映像コンテンツ”として扱い、オーバースキャンや拡大処理を行ってしまいます。

この誤認識こそが、ほとんどの「解像度が合わない」問題の根源です。

「解像度が合わない」主な3つの原因

次に、実際にどんな設定や要素が原因でトラブルが起こるのかを整理していきましょう。

解像度が合わないケースは大きく分けて、以下の3つのパターンに分類できます。

① テレビのオーバースキャン設定が有効になっている

オーバースキャンとは、映像の端にあるノイズを隠すために映像全体をわずかに拡大して表示する機能です。

地上波放送などでは自然に見せるための工夫ですが、PCを接続すると逆効果になります。

タスクバーが見切れたり、ウィンドウの端が切れてしまうのはこの設定が原因のことが多いです。

状況	具体的な対処法
画面の端が欠ける	テレビの「オーバースキャン」をオフにする
表示が拡大されている	「ドットバイドット」「フルピクセル」モードに変更

オーバースキャンを解除して、PCと同じピクセル単位で表示（ドットバイドット）にすることが最初の一歩です。

② PCの出力解像度とテレビの推奨解像度が一致していない

PCが出力している映像の解像度と、テレビが最も綺麗に映せる解像度（ネイティブ解像度）が一致していないと、映像がぼやけます。

たとえば4KテレビにフルHDの映像を出力した場合、テレビは自動的に映像を引き伸ばす「アップスケーリング処理」を行います。

結果として、文字や線がにじんで見えるのです。

テレビ解像度	PC出力	結果
4K（3840×2160）	フルHD（1920×1080）	引き伸ばしでぼやける
フルHD（1920×1080）	4K（3840×2160）	対応外で映らない／信号エラー

ポイント： テレビの取扱説明書やメーカーサイトで「推奨解像度」を確認し、Windowsのディスプレイ設定をその値に合わせるのが最適解です。

③ HDMIケーブルの規格・長さ・品質が合っていない

見落とされがちなのがケーブルの問題です。

HDMIケーブルには「スタンダード」「ハイスピード」「プレミアムハイスピード」「ウルトラハイスピード」などの規格があり、対応帯域が異なります。

4K/60Hzなどの高解像度映像を伝送するには、HDMI 2.0以上のケーブルが必要です。

原因のタイプ	症状	対処法
古いHDMI 1.4ケーブル	映像が映らない・ちらつく	HDMI 2.0以上のケーブルに交換
5m以上の長いケーブル	信号が弱まり映像が不安定	光ファイバーHDMIや延長器を使用
安価なケーブルでノイズ多発	画面が途切れる・にじむ	ノイズシールド処理のある高品質ケーブルを選ぶ

設定を変えても直らないときは、ケーブルを疑う──これが解決への近道です。

以上の3つを順番に確認すれば、多くの「解像度が合わない」トラブルは解決します。

次の章では、設定変更を始める前に知っておくべき「解像度の基礎知識」をわかりやすく整理していきます。

設定を始める前に知っておきたい基本知識

設定を変更する前に、「解像度」や「ピクセル」といった基本の考え方を理解しておくと、トラブルの原因がより明確になります。

難しい言葉のように見えても、一度整理すればとてもシンプルです。

「1920×1080」「4K」などの数字が意味するもの

解像度とは、画面を構成する「ピクセル（点）」の数のことを指します。

たとえば「1920×1080」は、横に1920個、縦に1080個のピクセルで映像を作っているという意味です。

この数が多いほど、より細かく滑らかな映像になります。

名称	解像度	特徴
HD	1366×768	小型テレビや古いノートPCで主流
フルHD	1920×1080	現在もっとも一般的な解像度
4K	3840×2160	フルHDの4倍の情報量。文字もくっきり

つまり、解像度が違うと「1つの映像をどれだけ細かく描くか」が変わるため、ぼやけやズレの原因になるのです。

テレビとPCモニターの構造的な違い

テレビとPCモニターは、似ているようでまったく設計思想が異なります。

テレビは離れた場所から映像を“綺麗に見せる”ために、ノイズ除去や色補正などの映像処理を行います。

一方、PCモニターは“正確に表示する”ことを目的としており、余計な処理をしません。

項目	テレビ	PCモニター
目的	映像を滑らかに美しく表示	文字や線を正確に表示
処理	オーバースキャンや映像補正あり	ドットバイドット（1:1表示）
視聴距離	遠くから見る	近距離で作業する

この構造的な違いが、PCをテレビに繋いだときの「画面ズレ」や「ぼやけ」に直結します。

画面サイズと画素密度（PPI）の関係を理解しよう

「画面が大きい＝高画質」と思われがちですが、実際はそうではありません。

重要なのは画素密度（PPI: Pixels Per Inch）です。これは1インチあたりにどれだけのピクセルが詰まっているかを示します。

同じフルHDでも、24インチモニターと50インチテレビでは密度が違うため、見え方が変わります。

ディスプレイサイズ	解像度	PPI	見え方の特徴
24インチモニター	1920×1080	約92	近くでも文字がくっきり
50インチテレビ	1920×1080	約44	近距離では文字が粗く見える
50インチ4Kテレビ	3840×2160	約88	高精細で作業にも向く

大画面テレビをPCモニター代わりに使うなら、4K解像度がベスト。

この違いを理解しておくと、「文字が小さい」「ボヤける」などの原因を正しく判断できます。

Windowsでの正しい設定手順（画像が綺麗に映るまで）

ここからは実際に、Windowsでテレビの解像度を正しく設定する手順を解説します。

Windows 11を基準にしていますが、Windows 10でも基本的な流れは同じです。

ディスプレイ設定でテレビの推奨解像度に合わせる

まずは、Windows側の解像度設定を確認・変更します。

デスクトップの何もない場所を右クリックし、「ディスプレイ設定」を選択。
設定画面で、接続しているテレビの番号をクリックして選択。
「ディスプレイの解像度」を開き、「推奨」と書かれた数値を選ぶ。
確認メッセージが出たら「変更の維持」をクリック。

これでPCからの出力がテレビのネイティブ解像度と一致し、映像のぼやけが改善されます。

設定項目	おすすめ値
解像度	テレビの推奨解像度（例：1920×1080、3840×2160）
リフレッシュレート	60Hz（4K対応テレビなら60Hz推奨）

スケーリングで文字サイズを見やすくするコツ

4Kテレビに接続すると、アイコンや文字が小さく見える場合があります。

そんなときは、Windowsの「スケーリング」機能で表示サイズを調整しましょう。

「ディスプレイ設定」画面で「拡大縮小とレイアウト」項目を探す。
「スケール」を100%、125%、150%などから選択。
4Kテレビでは150%または200%がおすすめ。

スケーリング率	おすすめ環境
100%	フルHDテレビ（1920×1080）
150%	4Kテレビ（43〜55インチ前後）
200%	4Kテレビ（32インチ未満）

スケーリングを調整することで、画面を広く保ったまま文字も読みやすくなります。

画面の端が切れるときのグラフィック設定（NVIDIA・AMD・Intel別）

解像度とスケーリングを合わせても、画面の端が切れたり黒枠が出る場合は、GPU側のスケーリング補正が原因です。

使用しているGPUごとに以下の設定を確認してみましょう。

GPUメーカー	設定場所	調整方法
NVIDIA	NVIDIAコントロールパネル → ディスプレイ → サイズと位置の調整	「スケーリング」タブで「GPUスケーリング」→「縦横比維持」に設定
AMD	AMD Software → ディスプレイ → HDMIスケーリング	スライダーを0%に変更（ドットバイドット表示）
Intel	Intel Graphics Command Center → ディスプレイ → スケーリング	「カスタムスケール」で画面の端を微調整

これで、テレビの表示領域とPCの出力がピタッと合うはずです。

注意： GPUドライバーが古い場合は設定項目が正しく動作しないことがあります。後ほど紹介する「ドライバー更新」も合わせて行うと確実です。

テレビ側の設定でオーバースキャンを解除しよう

PC側の設定を整えても、テレビ側でオーバースキャンが有効なままだと画面の端が切れてしまいます。

ここでは、主要メーカー別にオーバースキャンを解除する手順を解説します。

ソニー・東芝・シャープなど主要メーカーの設定例

メーカーごとにメニュー構成が異なりますが、共通して探すべき項目は「画面サイズ」「フルピクセル」「ドットバイドット」といったキーワードです。

メーカー	設定手順	ポイント
ソニー（BRAVIA）	［画質］→［画質モード］→「グラフィックス」または「ゲーム」を選択［画面モード］を「フルピクセル」に変更	「グラフィックス」モードで自動的にPC信号最適化
東芝（REGZA）	［映像設定］→［画面サイズ切換］→「Dot by Dot」を選択［HDMI入力モード］を「PCモード」に変更	「Dot by Dot」でオーバースキャンを完全解除
シャープ（AQUOS）	［画質設定］→［AVポジション］→「PC」モード［画面サイズ］で「ドット・バイ・ドット」を選択	「PC」モードでは余計な映像補正がオフになる

機種によっては「画面サイズ：ジャストスキャン」「フルサイズ」などの表記もあります。

設定名は違っても、意味するところは「映像を拡大せず1ドットずつ正確に表示する」ことです。

「フルピクセル」や「ドットバイドット」を探すポイント

テレビの設定メニューで以下のような用語を見つけたら、それが正しい表示モードです。

「ドットバイドット」または「Dot by Dot」
「フルピクセル」または「Just Scan」
「PCモード」「ゲームモード」「グラフィックスモード」

逆に、「ワイド」「ズーム」「シネマ」などが選ばれている場合は、オーバースキャンが有効な可能性が高いです。

注意： 一部のテレビでは、HDMI入力ごとに個別設定が必要です。すべての端子を確認しておきましょう。

HDMI入力モードやズーム設定の落とし穴

テレビのHDMI端子によっては、特定の入力ポートのみがPC信号に最適化されている場合があります。

「PC入力対応」や「高速信号モード」などの表記を確認して、該当ポートに接続してください。

また、リモコンの「画面サイズ」「ズーム」ボタンを押して、意図しない拡大設定になっていないかも確認しておきましょう。

確認項目	推奨設定
HDMI入力モード	エンハンストモード／PCモード
ズーム設定	フル表示または1:1
入力ラベル	「PC」または「ゲーム」

テレビ側で「1:1表示（ドットバイドット）」に設定するだけで、ほとんどの表示ズレは解消します。

それでも直らないときの最終チェックリスト

ここまでの設定をすべて試しても問題が解決しない場合は、より根本的な部分に原因がある可能性があります。

以下のチェックリストを順に確認してみましょう。

グラフィックドライバーを更新または再インストールする

グラフィックドライバーが古い、または破損していると、正しい解像度設定が反映されないことがあります。

まずはドライバーを最新バージョンに更新しましょう。

GPUメーカー	更新方法
NVIDIA	GeForce Experienceまたは公式サイトから最新版をダウンロード
AMD	Adrenalin Editionから自動更新、もしくは公式サイトから入手
Intel	Intel Driver & Support Assistantを利用

それでも改善しない場合は、クリーンインストールを行うのが有効です。

Display Driver Uninstaller（DDU）というツールで旧ドライバーを完全に削除してから再インストールすると、設定不具合がリセットされます。

Windows Updateで互換性を改善

Windows自体の更新プログラムによって、ディスプレイ関連の不具合が改善されるケースもあります。

「スタート」→「設定」→「Windows Update」を開く。
「更新プログラムのチェック」をクリックし、利用可能な更新をすべて適用。
更新後、PCを再起動してテレビに再接続。

Windows Updateは、実は「見えないドライバー更新」を含んでいるため、軽視できません。

HDMIポート・ケーブルを変えて確認する

最後のチェックポイントは物理的な接続です。

別のHDMIポートに差し替えるだけで解決するケースも少なくありません。

また、別のHDMIケーブルに交換してみましょう。

確認項目	対処法
ケーブルの規格	4K対応なら「HDMI 2.0」以上を使用
ケーブルの長さ	5m以内を推奨。長い場合は光ファイバーHDMIを検討
接続ポート	テレビ・PC両方の別ポートで試す

単純な抜き差しだけでも、接触不良や認識ミスが解消される場合があります。

もし複数の機器（AVアンプや分配器）を経由している場合は、PCとテレビを直接繋ぐテストも有効です。

ここまで実施すれば、ほとんどの「解像度が合わない」問題は解決できるはずです。

次の章では、今後トラブルを防ぐための実践的なヒントをまとめます。

トラブルを防ぐための実践テクニック

ここからは、再び同じ「解像度が合わない」問題を起こさないための実践的なヒントを紹介します。

テレビをPCモニター代わりに使うときにありがちな勘違いや、意外と知られていない便利な設定もチェックしておきましょう。

ノートPCを閉じたままテレビに映す「クラムシェルモード」設定

ノートPCを閉じたままテレビで操作したい場合は、「クラムシェルモード」を使うと便利です。

これは、ノートPCのディスプレイを閉じてもスリープせず、外部モニター（テレビ）のみで動作する設定です。

テレビとノートPCをHDMIで接続。
コントロールパネル → 「ハードウェアとサウンド」 → 「電源オプション」を開く。
左メニューから「カバーを閉じたときの動作の選択」をクリック。
「カバーを閉じたときの動作」を「何もしない」に設定して保存。

これで、ノートPCを閉じてもテレビ画面が維持されます。

注意： クラムシェルモードではPC内部に熱がこもりやすいため、冷却スタンドの使用をおすすめします。

この設定を覚えておくと、テレビを大型ディスプレイとして快適に使えます。

4KテレビでフルHDがぼやける理由と対策

4KテレビにフルHD出力を映すと、映像がぼやけて見えることがあります。

これはテレビ側の「アップスケーリング（解像度の引き伸ばし）」処理が原因です。

4Kテレビは3840×2160ピクセルを持っていますが、フルHDは1920×1080ピクセルしかありません。

この差を埋めるためにテレビが自動補間を行い、映像がわずかにぼやけて見えるのです。

出力設定	表示結果	おすすめ対策
フルHD → 4Kテレビ	拡大処理でぼやける	PC出力を4Kに変更
4K → フルHDテレビ	ダウンスケーリングで画質低下	PC出力をフルHDに合わせる

もしフレームレートを稼ぐためにあえてフルHDで出力したい場合は、テレビ側の「シャープネス」設定を上げすぎないよう注意しましょう。

過剰な補正をかけると、逆に輪郭がにじむことがあります。

最適な設定組み合わせ一覧表

テレビの種類ごとに、最も快適に使えるPC出力設定をまとめました。

テレビの種類	PC出力解像度	スケーリング率（Windows）	テレビ側設定	おすすめ用途
フルHDテレビ（1920×1080）	1920×1080	100%	ドットバイドット／フルピクセル	動画視聴・ゲーム向け
4Kテレビ（3840×2160）	3840×2160	150〜200%	ドットバイドット／ゲームモード	作業・マルチウィンドウ操作向け
HDテレビ（1366×768）	1366×768	100%	フル表示／PCモード	軽作業・動画再生向け