「開会の辞」は、一般に「かいかいのじ」と読みます。
式次第に漢字で書かれている場合、特別な指定がなければ「かいかいのじ」と読むのがもっとも安全です。
ただし、辞書のデータでは「かいかいのことば」という読みも確認できるため、「ことば」を完全な間違いとは言い切れません。
このページでは、国立国会図書館の書誌データや辞書の収録状況をもとに、「じ」と「ことば」のどちらを選ぶべきかの判断基準を示します。
漢字「辞」がなぜ「じ」と読めるのかという語の意味や、「開会の挨拶」「開会宣言」との違いも、表でひと通り整理しました。
自分が開会の辞を担当する場合に備えて、最短の例文と英語表現も用意しています。
読み方で迷ったまま本番を迎えないための確認ポイントを、最後まで読んで解説していきます。
開会の辞の読み方は「かいかいのじ」|「ことば」でもいい?

式次第やプログラムに漢字で「開会の辞」と書かれていたとき、一般には「かいかいのじ」と読むのが第一候補です。
国立国会図書館の書誌データでは、資料「開会の辞 : 『愛なきところに真理なし』」のタイトル読みが「カイカイ ノ ジ」と登録されており、国立国会図書館の公的な読みとして「じ」が確認できます。
一方で、「かいかいのことば」という読みも辞書系データに収録されています。
JapanDictやTangorinなどでは「開会の辞」に「かいかいのじ」と「かいかいのことば」の両方が読みとして掲載されており、「ことば」を読みとして載せる辞書もあります。
そのため、「かいかいのことば」を完全な誤読と断定することはできません。
ただし、人前で読み上げる場面では判断の目安があります。
式次第に漢字で「開会の辞」と書かれている場合は、特別な読み指定がない限り「かいかいのじ」と読むのがもっとも分かりやすく安全です。
公的な書誌の読みが「カイカイ ノ ジ」であることを踏まえると、漢字表記をそのまま読む場面では「じ」を選ぶのが無難です。
大会や式典の進行役から「『かいかいのじ』と『かいかいのことば』のどちらが一般的なのか」という質問が投稿された例もあり、本番前に迷う人は少なくありません。
読み方に迷ったまま本番を迎えるのが一番のリスクなので、担当になった時点で主催者に読み方を確認しておくと確実です。
読み方早見表|開会の辞・開会のことば・閉会の辞
「開会の辞」と似た表記がいくつかあり、見た目の混同が起きやすいので、表で整理しておきます。
| 表記 | 読み | 補足 |
|---|---|---|
| 開会の辞 | かいかいのじ | 第一候補。公的書誌でも「カイカイ ノ ジ」の読みを確認できる |
| 開会の辞 | かいかいのことば | 辞書系データに読みとして収録される例がある |
| 開会のことば/開会の言葉 | かいかいのことば | 「開会の辞」の別表記として辞書に掲載される |
| 閉会の辞 | へいかいのじ | 対になる表現。「へいかいのことば」という読み・別表記も辞書系で確認できる |
ポイントは、「読み」と「表記」を分けて考えることです。
「開会の辞」という漢字表記の読みとしては「かいかいのじ」が第一候補であり、「かいかいのことば」と読みたい場合は「開会のことば」「開会の言葉」という別表記にすると、書き手と読み手のずれが起きにくくなります。
式次第を作る側の人は、この使い分けを意識すると親切です。
「かいかいのことば」は間違い?迷ったときの判断基準
「ことば」読みが辞書に載っている以上、「かいかいのことば」は完全な間違いとは言い切れません。
ただし、辞書に載っていることと、式次第の読み上げで選ぶべき読みは別の話です。
判断基準は次の順で考えると迷いません。
- 式次第に読み方の指定があるか:指定があればそれに従うのが最優先です。
- 指定がなければ「かいかいのじ」:公的書誌の読みに沿うため、最も安全な選択になります。
- 不安が残るなら事前確認:主催者や先輩の司会担当者に一言確認しておけば、本番での迷いは消えます。
「じ」と「ことば」のどちらでも意味は通りますが、本番で選ぶなら「かいかいのじ」が第一選択と覚えておけば、読み方でつまずくことはまずありません。
なぜ開会の辞の「辞」を「じ」と読む?漢字「辞」の意味

「辞」という漢字は「辞める(やめる)」のイメージが強く、「じ」と読んでいいのか不安になる人が多い漢字です。
しかし「辞」には「一定のまとまりをもつ話や文章」「形式の決まった話や文章」という意味があります。
漢字ペディアの「ことば」の同訓異義の解説では、この用法の例として「開会の辞」「お祝いの辞」「誓いの辞」が挙げられています。
つまり「辞」は、やめるという意味だけでなく、きちんとした形に整えられた話・文章を表す漢字なのです。
祝いの席で述べる整った挨拶を「お祝いの辞」、式典で誓いを述べる整った言葉を「誓いの辞」と呼ぶのと同じしくみで、開会の場で述べる改まった挨拶が「開会の辞」になります。
「開会」のほうは、会合や会議などを開くことを表す語です。
コトバンクに収録される辞書では「開会の辞を述べる」が英語の give an opening address に対応するとされ、「開会(会を開くこと)」+「辞(形式の整った話)」=「開会を告げる改まった言葉」という構成になっているのが分かります。
「辞=形式の整った話・文章」という意味を知っておくと、「じ」という読みを丸暗記ではなく理解として覚えられます。
「開会の辞」「閉会の辞」「お祝いの辞」など、同じ用法の語は式典で何度も出てくるので、一度理解しておけば他の語の読みにも応用がききます。
なお、「辞」を「やめる」の意味だけだと思い込んでいると、式次第を見た瞬間に読み方へ迷いが生じるので、「話・文章」の用法があることを押さえておきたい点です。
開会の辞の意味と役割|誰が読むのか

開会の辞とは、会議や式典などの冒頭で開会を告げる挨拶・言葉のことです。
会の開始を告げ、参加者への感謝や会の趣旨を短く述べる役割を担い、式典によっては開会宣言だけを簡潔に行う場合もあります。
「開会の辞」は古い言い回しではなく、現在も公的・正式な場で使われている現役の式典語彙です。
文化庁が公開している国語審議会の資料では、会の冒頭の項目として実際に「開会の辞」という見出しが使われています。
大学の式典でも使用例があり、筑波大学の2026年プログラムでは「Opening Remarks 開会の辞」「Closing Remarks 閉会の辞」と表記され、東京家政大学の2026年度講演会のプログラムにも「開会の辞・学科長挨拶」「閉会の辞」と記載されています。
官公庁や大学の公式プログラムでも現在使われている、改まった式典の標準的な表現です。
式次第にこの語が並んでいても違和感はなく、むしろ正式な場では定番の項目名です。
では、誰が担当するのかというと、担当者は一律ではありません。
文化庁の例では国語課長が、大学のイベントでは大学関係者や学科長が担当するなど、実例を見ても司会・主催者・代表者などさまざまです。
「開会の辞は必ず主催者が言うもの」と思い込んでいると、実際の式次第と担当の取り違えが起きる恐れがあるため、自分の会の式次第の指定を優先して確認してください。
「開会の辞」と「開会の挨拶」「開会宣言」の違い
「開会の辞」と似た表現に「開会の挨拶」「開会宣言」があり、式次第にどれを書くべきか迷う人がいます。
それぞれの距離感を表に整理します。
| 表現 | 読み | ニュアンス・使われ方 |
|---|---|---|
| 開会の辞 | かいかいのじ | 改まった式典・会議で使われる名称。公的機関や大学の式次第にも実例がある |
| 開会の挨拶 | かいかいのあいさつ | 一般的で分かりやすい表現。企業のイベントなどで広く用いられる |
| 開会宣言 | かいかいせんげん | 会の開始を簡潔に告げる役割に使われる類似概念 |
「開会の辞」と「開会の挨拶」は近い意味で使われますが、式次第によっては別項目として扱われる場合があります。
東京家政大学の講演会プログラムでは「開会の辞・学科長挨拶」と並んで記載されており、社内イベントで「開会の辞」と「開会の挨拶」が別々に設定されて違いが分からない、という質問も見られます。
イベント運営の解説では、フォーマルな場では「開会の辞」という名称が用いられると紹介されることもあり、「開会の辞」はより改まった名称として使われるケースがあると捉えておくとよいでしょう。
厳密な役割分担や使い分けは主催者ごとの式次第に依存するため、「辞」と「挨拶」を完全に同じとも、完全に別物とも断定しないのが正確な整理です。
自分が式次第を作る立場なら、どちらか一方の名称に統一するか、役割を分けるなら担当者と内容を明確にしておくと混乱が起きにくくなります。
自分が開会の辞を担当するなら|最短例文と英語表現
読み方と役割が分かったら、自分の番で何を言うかも押さえておきましょう。
開会の辞は、会の開始を告げ、参加への感謝や会の趣旨を短く述べる形が基本です。
式典司会の実務解説でも、開会を告げる短い定型から入る構成が紹介されています。
もっとも短いパターンは次のような形です。
- 「ただいまより、〇〇大会を開会いたします。」
- 「皆さま、本日はお忙しい中ご来場いただき、ありがとうございます。ただいまより〇〇を開会いたします。」
式次第の時間配分を見ると、開会の辞に割かれる時間は数分程度が多く、長いスピーチは求められません。
東京家政大学の講演会プログラムでも「12:45〜12:50 開会の辞・学科長挨拶」と5分枠で組まれています。
開会の辞は「開会を告げる」ことが役割の核なので、感謝と趣旨を短く添えるだけで十分です。
長くしようと気負わず、最初の一文を確実に言える準備をしておくほうが大切です。
読み上げの直前にもう一度確認したい点が2つあります。
ひとつは読み方で、式次第に「開会の辞」とあれば「かいかいのじ」と読むのが最も安全です。
もうひとつは担当範囲で、「開会の辞」と「開会の挨拶」が別項目になっている会では、自分がどちらの担当かを式次第で確認しないと、言うべき内容がずれてしまう恐れがあります。
担当者名と式次第の表記を読み上げ前にチェックしておくと確実です。
英語表現も補足しておきます。
筑波大学の2026年プログラムでは「Opening Remarks 開会の辞」と対訳されており、辞書では「開会の辞を述べる」が give an opening address とされています。
文脈により opening address や opening remarks などが使われるので、国際的なイベントでプログラムを英語表記にする場合は、このどちらかを選べば問題ありません。
なお、式典では「開会の辞」に似た表現として「開式の辞」という語が使われることもあります。
読み方は「かいしきのじ」で、式典の開始を告げる点では役割が近いため、式次第に「開式の辞」と書かれていた場合は「開会」と「開式」の表記違いに戸惑わず、そのまま指定された語で読み上げれば大丈夫です。
